世界のマッサージをめぐる旅 - 第1回スウェーデン式マッサージ

世界のマッサージから考える、自分の身体に合った「心地よい圧」の見つけ方
世界には、その土地の歴史や文化の中で育まれてきた、さまざまなマッサージがあります。
このシリーズでは、現在マンダラスパで提供している代表的なマッサージを取り上げ、その由来や特徴、どのような方に向いているのかをご紹介します。
第1回は、世界各地のホテルやスパで広く親しまれている、スウェーデン式マッサージです。
世界で親しまれているスウェーデン式マッサージ
スウェーデン式マッサージという名前を、海外のホテルやスパで目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
現在では、世界各地で受けられる代表的なマッサージの一つです。オイルやローションを使った滑らかな動きが中心で、初めてマッサージを受ける方にも選ばれています。
日本では、アロママッサージやオイルマッサージという名称の方が、なじみがあるかもしれません。それらの施術にも、スウェーデン式マッサージの手技や考え方が取り入れられていることがあります。
これほど世界に広まったスウェーデン式マッサージは、いつ、どのように生まれたのでしょうか。
始まりは19世紀のスウェーデン
スウェーデン式マッサージの歴史をたどると、19世紀のスウェーデンへ行き着きます。
当時のヨーロッパでは、身体を動かすことや、手を使って身体に働きかけることを、健康の維持や身体機能の回復に役立てようとする研究が進んでいました。
その中で大きな役割を果たしたのが、スウェーデンのペール・ヘンリック・リングです。
リングは、体操や運動、身体への手技などを組み合わせた体系をつくり、1813年にはストックホルムに体操指導者を育成するための学校を設立しました。
ただし、現在のスウェーデン式マッサージをリングが一人で完成させたわけではありません。
リングが発展させたのは、マッサージだけでなく、運動や体操を含む幅広い身体活動の体系でした。その考え方が、後のマッサージや理学療法の発展にも影響を与えたと考えられています。
一人の発明ではなく、ヨーロッパで育ったマッサージ
スウェーデン式マッサージは、誰か一人がある日突然生み出したものではありません。
リングがスウェーデンで身体運動の体系を発展させたあと、ヨーロッパ各地の医師や施術者が、手による身体への働きかけを研究し、さまざまな手技を整理していきました。
その一人が、オランダの医師ヨハン・ゲオルグ・メズガーです。
メズガーは、長く滑らせる、揉む、こする、リズミカルに叩くといった手技を整理し、医療の分野でもマッサージを広めていきました。
このように、スウェーデンで生まれた身体運動の考え方と、ヨーロッパ各地で発展した手による施術が重なり合い、現在のスウェーデン式マッサージの基礎が形づくられていきました。
運動と身体の研究から生まれた考え方
現在では、スウェーデン式マッサージはリラクゼーションを目的として受けるもの、という印象が強くなっています。
しかし、その背景には、身体の構造や動きについて理解し、運動や手による施術を身体の健康に役立てようとした人々の研究がありました。
身体は、筋肉だけが別々に動いているわけではありません。筋肉や関節、神経などが互いに関わりながら、一つの動作をつくっています。
そのため、身体の一部分だけを力任せに押すのではなく、広い範囲に触れながら、身体全体の状態を見ていくという考え方が大切にされるようになりました。
この考え方は、現在のスウェーデン式マッサージにも受け継がれています。
ヨーロッパからアメリカへ
19世紀半ばになると、スウェーデンで発展した運動や身体への施術の考え方は、海を渡ってアメリカにも伝えられました。
アメリカの医師であったチャールズ・テイラーとジョージ・テイラーの兄弟は、ヨーロッパでスウェーデン式の身体運動について学び、1850年代にニューヨークでその方法を紹介しました。
兄弟は、運動やマッサージを取り入れた施設を開き、身体の健康を保つ方法として広めていきました。
1860年には、ジョージ・テイラーがスウェーデン式の身体運動についてまとめた本を出版しています。
その後、こうした考え方はアメリカの医療や身体教育にも取り入れられ、時代とともにホテルやスパ、ウェルネス施設などへも広がっていきました。
世界中のスパで受けられるマッサージへ
スウェーデン式マッサージは、ヨーロッパからアメリカへ伝わり、さらに世界各地へと広がりました。
一つの理由として考えられるのは、受ける人の希望に合わせて施術を調整しやすいことです。
穏やかに休みたい方には軽めの圧で、筋肉の疲れが気になる方には少ししっかりとした圧で施術できます。
また、特定の場所だけを集中的に刺激するのではなく、身体の広い範囲へ滑らかに触れていくため、全身をゆっくりと休ませたい方にも向いています。
こうした幅広さが、国や文化を越えて受け入れられ、現在では世界を代表するマッサージの一つになったのでしょう。
スウェーデン式マッサージとは、どのようなものなのでしょう
スウェーデン式マッサージでは、一般にオイルやローションを使います。
施術者の手を肌の上で長く滑らせる動きを中心に、筋肉を揉みほぐしたり、適度な圧を加えたりしながら、身体の広い範囲へゆっくりと働きかけます。
長く滑らかな動きは、身体の広い範囲へ途切れずに触れていくため、ゆったりとしたリズムを感じやすいことが特徴です。
筋肉の張りが気になる場所には、揉む動きや少ししっかりとした圧を加えることもあります。
施術の内容は、受ける人の希望や身体の状態によって変わります。穏やかなリラクゼーションだけでなく、日常生活や運動で酷使した筋肉をほぐしてほしいときにも選ぶことができます。
スウェーデン式は、必ず軽いマッサージなのでしょうか
スウェーデン式マッサージというと、軽く触れるだけの穏やかな施術を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、スウェーデン式マッサージの圧は、必ずしも軽いとは限りません。
ゆっくり休みたいときには軽めの圧で、筋肉の張りをしっかりと感じる場所には中くらいの圧で施術することもできます。
大切なのは、強い圧に耐えることではありません。
自然に呼吸を続けながら、身体の力を抜いて受けられることが、自分に合った圧を見つける一つの目安になります。
強いほど効果があるわけではありません
マッサージは、強ければ強いほど身体に効くと思われることがあります。
しかし、痛みの強さとマッサージの効果は同じではありません。
思わず息を止めたり、歯を食いしばったり、身体が逃げようとしたりする場合は、その圧が自分にとって強すぎる可能性があります。
強い圧そのものが悪いわけではありません。しっかりとした圧を心地よく感じる方もいれば、軽い圧で深く落ち着ける方もいます。また、同じ人でも、その日の疲れや体調によって、心地よいと感じる強さは変わります。
圧の強さに優劣があるのではなく、自分の身体が安心して受け入れられるかどうかが大切です。施術中に圧が合わないと感じたときは、我慢せずセラピストに伝え、調整してもらいましょう。
圧を受けた身体の中で起きていること
マッサージの圧は、皮膚やその下にある組織で受け取られます。
触れられた感覚や圧の情報は、感覚神経を通して脊髄や脳へ伝えられます。その結果、痛みや筋肉の緊張が一時的に軽く感じられたり、身体を動かしやすく感じられたりすることがあります。
マッサージは、硬くなった筋肉を力ずくで押しつぶすものではありません。
手から伝わる刺激を身体と脳がどのように受け取るかも、心地よさや痛みの感じ方に関係しています。
静かな環境の中で安心して施術を受けることや、ゆったりとしたリズムに身を任せることも、マッサージの大切な要素です。
このような方に選びやすいマッサージです
スウェーデン式マッサージは、初めてスパでマッサージを受ける方にも選びやすい施術です。
強い刺激が苦手な方や、リラクゼーションを求めている方にも向いています。
また、特定の場所だけではなく、身体全体に疲れを感じている方や、旅行中にゆっくりと身体を休ませたい方にもなじみやすいでしょう。
穏やかな時間を過ごしたい方から、日常生活や運動で疲れた筋肉をほぐしたい方まで、幅広い目的に合わせられることが、スウェーデン式マッサージの魅力です。
マンダラスパで体験するスウェーデン式マッサージ
マンダラスパのスウェーデン式マッサージは、お客様の好みやその日の身体の状態に合わせて施術いたします。
ゆっくりとリラックスしたい、筋肉の張りが気になるなど、施術の目的やご希望がありましたら、セラピストへお伝えください。
マンダラスパのスウェーデン式マッサージには、頭皮のマッサージと足の保湿トリートメントも含まれています。
全身をゆっくりと休ませながら、頭から足元まで心地よい時間をお過ごしいただけます。
その日の自分に合った心地よさを
スウェーデン式マッサージは、19世紀のヨーロッパで育まれた身体への考え方を背景に、アメリカへ渡り、世界各地へ広がっていきました。
長く滑らかな動きと、希望に合わせて調整できる圧は、現在も世界中のスパで多くの方に親しまれています。
軽い圧で深く安らげる日もあれば、少ししっかりとした圧が心地よい日もあります。
大切なのは、強い圧に耐えることではなく、自分の身体が安心して受け入れられる圧を見つけることです。
世界のマッサージをめぐる旅の第一歩として、スウェーデン式マッサージの穏やかな心地よさを体験してみてはいかがでしょうか。
