世界のマッサージをめぐる旅-第3回 ハワイアン・ロミロミ

受け継がれる中で育まれた、多彩な癒しのかたち
ロミロミの歴史や、その背景にあるハワイの文化と精神については、以前のブログ記事「本当のハワイのロミロミとは」でご紹介しました。
今回は、実際にスパで受けるロミロミの手技と、その受け心地に目を向けてみます。
ロミロミと聞いて、前腕を使った流れるようなマッサージを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、ロミロミには、すべてに共通する一つの型があるわけではありません。
受け継がれてきた背景をたどると、その多彩な姿が見えてきます。
前腕を使った、広くやわらかな手技
現代のスパで行われるロミロミでは、手のひらに加えて前腕を使う施術がよく見られます。
腕の内側を身体に沿わせ、肩から背中、腰へと広い範囲に働きかけます。指先で一点を押すのとは異なり、接する面が広いため、圧が一か所に集中しにくいのが特徴です。
身体を大きく包み込まれるような感覚があり、しっかりとした圧でも、やわらかく感じられることがあります。施術者は腕の力だけに頼らず、姿勢や体重の移動を利用しながら、無理のない動きで圧を伝えていきます。
波のように続く、なめらかなリズム
ロミロミの動きは、しばしばハワイの波にたとえられます。
ゆっくりと身体に触れ、そのまま長く流れ、次の動きへと自然につながっていく。手が何度も止まるのではなく、穏やかな動きが続くことで、施術全体に心地よいリズムが生まれます。
そのリズムに身をゆだねていると、身体の一部分だけではなく、全身がゆっくりと緩んでいくように感じられます。波の音を聞いていると、いつの間にか気持ちが落ち着いてくるように、繰り返される動きが静かな休息へと導いてくれます。
ひとつの型ではないロミロミ
ロミロミは、長い間、家族や地域、そして師から弟子へと受け継がれてきました。そのため、世界共通の手順や、すべての施術者が同じように行う統一された型があるわけではありません。
伝承の系統によって、使われる手技や身体への働きかけ方、施術に込められた考え方にも違いがあります。手のひらを中心に使うものもあれば、前腕を大きく使うものもあり、ゆったりとした施術から、より深く筋肉に働きかけるものまでさまざまです。
現在、ロミロミにはいくつものスタイルがありますが、どれか一つだけがロミロミというわけではありません。それぞれの伝承を大切にしながら、異なる形で受け継がれてきたこと自体が、ロミロミの特徴の一つといえるでしょう。
料理にも残るロミロミという言葉
ハワイには、ロミロミサーモンと呼ばれる料理があります。
塩漬けのサーモンにトマトや玉ねぎなどを加え、手で揉むように混ぜて作ることから、この名前がついたとされています。
ロミロミという言葉は、マッサージだけを表すものではありません。揉む、押す、こねるといった手の動作を意味する、ハワイの暮らしに身近な言葉なのです。
現代のスパで体験するロミロミ
現代のホテルスパでは、ロミロミの伝統を尊重しながら、旅行者が安心して受けられるマッサージとして提供されています。
マンダラスパのハワイアン・ロミロミ・マッサージは、前腕を使った長くやさしいストロークが特徴です。中程度の圧で身体に働きかけ、深いリラクゼーションと心地よさをもたらします。
ロミロミの歴史を知ることと、実際にその手技を身体で感じることは、少し違います。施術者の腕から伝わる温もりや、途切れずに続く穏やかなリズムは、言葉だけでは伝えきれないロミロミの魅力です。
ハワイを訪れた際には、その土地で受け継がれてきた癒しの一端に、ゆっくりと身をゆだねてみてはいかがでしょうか。
