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香りに気づくということ

嗅覚がつなぐ、心・記憶・日常

音が心に触れる感覚について触れた前回に続き、今回は、より静かに、そして直接的に心に届く香りに目を向けてみたいと思います。

香りには、不思議な力があります。
言葉を交わす前、考えが追いつく前に、ふっと気持ちが動く。そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。花の香りに季節を感じたり、どこか懐かしいにおいに心がほどけたり。嗅覚は、五感の中でも特に、感情や記憶と深く結びついている感覚です。
視覚や聴覚が理解や判断を経て受け取られることが多いのに対し、香りはもっと直接的に心に届きます。だからこそ、理由がはっきりしないまま、好き、落ち着く、なんとなく苦手、と感じることも少なくありません。

花や自然の香りが心地よく感じられる理由

道を歩いていて、ふと漂ってくる花の香りに足を止めたことはありませんか。強く主張するわけでもなく、ただそこにあるだけなのに、気持ちがやわらぐ。自然の香りが心地よく感じられるのは、それが安心感や季節感、過去の記憶と結びついているからかもしれません。


香りそのものが良い・悪いというよりも、なじみがあるか、体が受け入れやすいか、という感覚が大きく影響します。同じ花の香りでも、ある人には心地よく、別の人には強すぎると感じられることもあります。それは嗅覚がとても個人的な感覚であることの表れです。

アロマやディフューザーは香りを選ぶという行為

アロマオイルやディフューザーは、香りを意識的に取り入れるための手段のひとつです。ラベンダー、ローズマリー、シトラス、ウッディ系など、香りにはさまざまな印象がありますが、重要なのは、何に効くかではなく、今の自分にどう感じられるかです。


たとえば、ラベンダーは穏やかな印象を持つ香りとして知られていますが、疲れているときには心地よく感じられても、気分が沈んでいるときには重く感じられることもあります。ローズマリーのすっきりした香りも、集中したいときには好まれても、リラックスしたいときには刺激に感じられる場合があります。


香りは固定された効果を持つものではなく、その日の体調や気分、置かれている環境によって受け取り方が変わります。ディフューザーを使うこと自体が大切なのではなく、今日はどんな香りなら心地よいだろう、と立ち止まって感じる時間こそが、セルフケアにつながっていきます。

食べるときに感じている、もうひとつの香り

香りの話は、食べるという行為とも深く関係しています。私たちは食事をするとき、舌で味を感じていると思いがちですが、実際にはそれだけではありません。口の中に入った食べ物を噛むたびに、香りが鼻へと抜け、その情報も含めて、おいしい、好き、なんとなく苦手、と判断しています。


風邪をひいて鼻が詰まっているとき、味が分かりにくくなる経験は、多くの人がしたことがあるでしょう。舌の機能は変わっていなくても、香りを感じにくくなることで、食事の印象は大きく変わります。おいしさは、味覚と嗅覚が一緒に働くことで生まれているのです。


また、好き嫌いには香りの記憶も影響します。同じ料理でも、人によって評価が分かれるのは、過去の体験や家庭の匂い、安心感や違和感が無意識に重なっているからかもしれません。食事の時間に少しゆっくり噛み、香りに気づくことで、いつもの食事が違って感じられることもあります。

スパと日常をつなぐ―感覚をひらく時間

スパの空間では、香りが控えめに、丁寧に使われています。強く主張するのではなく、呼吸とともに感じられる程度の香り。施術中にその香りに気づくことで、自然と意識が「今ここ」に戻り、体の緊張がほどけていきます。


これは特別な場所だけの話ではありません。日常の中でも、花の香りに足を止めること、ディフューザーで空間を整えること、食事の香りを感じながらゆっくり味わうこと。そうした小さな瞬間が、感覚をひらき、心身を整える時間になります。
香りは、目に見えず、形も残りません。だからこそ、意識を向けなければ通り過ぎてしまいます。けれど、少し立ち止まって感じてみると、そこには確かに、自分の状態を映し出すヒントがあります。


香りに気づくということ。
それは、日常の中で自分の感覚にそっと耳を澄ませる、やさしいウェルネスのひとつと言えるのかもしれません。

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